ウェブ川柳天守閣

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2023年6月度の感想を表示します。

日 付:2023-06-21
投稿者:岩原一角
句:ヒロシマの空鎮魂の大花火  井澤壽峰
そうでした。花火はもともと鎮魂。広島の夜空は、大鎮魂。もっとも、朝の8時15分だが。


日 付:2023-06-21
投稿者:井澤壽峰
句:花火師の精魂夜空一人占め  久世高鷲
花火のお題から花火師に発想を飛ばしその心意気を詠んだ奥深い川柳である。


日 付:2023-06-22
投稿者:真鍋心平太
句:友達が逝ったから小さな花火  真鍋心平太
互選投票で票を頂きありがとうございます。
大学も就職も一緒だった友が5月末に逝った。富士の自衛隊に入社研修に行き帰りに伊豆大島、十国峠を一緒に旅した。退職してからも、ときどき一緒に旅行した。
派手な付き合いではなかったが、ときおり思い出したように会えるのが良かった。最後に静かに時代劇小説を読む楽しみを残してくれた。そんな付き合いだったから大きな花火は似合わない。小さな花火で良い。
そんな気持ちでこの句を作りました。


日 付:2023-06-22
投稿者:真鍋心平太
句:プータローも悩み悩んでいるのです  波部珀兎
 私の息子は所謂就職氷河期時代の卒業生で、25年前の当時、就職試験はすべてだめで一浪して公務員になったのだが、息子の友達の多くは今も非正規で苦労していると聞く。
 卒業年度が違うだけで一生苦労しなければならない理不尽は察するに余りあり、いつも心が痛む。少子化の根本もここにあると思っているのだが、何とかならないものだろうか。
 この句には同じ視点が感じられ胸を衝かれた。優しい句である。



日 付:2023-06-22
投稿者:波部珀兎
句:どうしてる線香花火せがんだ娘  武智三成
線香花火の火玉が直ぐ落ちてしまい、もう一回もう一回とせがんでは大人に火を付けて貰い今度こそ慎重に…儚くて力弱いが綺麗で、消えて終わる迄見守り満足した。懐かしい一頁。少女も今頃は素敵な女性になっているであろう…光景が目に浮かび胸に響きます。


日 付:2023-06-22
投稿者:波部珀兎
句:友達が逝ったから小さな花火  真鍋心平太
ご友人は、大学から職場も長い間同じ道を歩まれたお仲間で退職後ブランクはあっても縁が切れる事もなく
派手なお付き合いではないけれど、ホッと出来る間柄で旅行や沢山の思い出多いご友人だったのでしょうね。
その彼が最近他界され、大きな花火ではなくて小さな花火でそっと見送りたいという追悼の句で大変心打たれ共感しました。


日 付:2023-06-22
投稿者:波部珀兎
句:ちぎり絵の清の花火夢もらう  船木しげ子
山下清画伯の作品。中でもちぎり絵の花火は有名で私も画集でしか観た事がありませんが確かに目を見張る温かい気持ちにさせる作品で素晴らしいですね。[花火]のお題から画伯のちぎり絵花火への着眼点も流石で、華やかな光景が私の目に浮かび中々放れてくれませんでした。


日 付:2023-06-26
投稿者:波部珀兎
句:にんげんの悩みを救う六地蔵  平川柳
亡母は道端でお地蔵様を見掛けると急いでいても立ち止まり手を合わせる人で、思春期だった頃の私は面倒くさいなぁと罰あたりでした。
お墓に並ぶ6体の六地蔵は仏教で言う六道の六を指し人間が死後に行く道の身代わりになって死者を救う為に姿を変えたと言われている様ですね。この句は17音でピタリとその意味の深さが伺え大変尊く心に染みる一句だと思います。


日 付:2023-06-30
投稿者:平川柳
句:牛になる前はずっとハムレット  月波与生
『ハムレット』は英国の劇作家シェイクスピアの四大悲劇の代表作です。その主人公のハムレットはその劇中で「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」という有名な独白を語ります。作者は悩める青年のハムレットの姿を通して自分は「牛になる前はずっとハムレット」だと回想しています。有名なシェイクスピアの悲劇の主人公を通して自画像を川柳で描いたきわめて文学的な現代川柳です。


日 付:2023-06-30
投稿者:平川柳
句:金魚鉢の中で地動説に悩む  月波与生
「地動説」は宇宙の中心は太陽であり、地球は他の惑星と共に太陽のまわりを自転しながら、公転しているという説ですが、シェイクスピアの生きていた1564年-1616年の間は、ヨーロッパでは、まだこの「地動説」は一般的には認められていませんでした。この時代は宇宙の中心は地球であるとする「天動説」が信じられていました。「天動説」が当時、信じらていたのは、キリスト教のカトリックの信者たちが地球にいる神は不動であると信じていたために、「地動説」に強く反対し、その説を信じた者は裁判にかけられ、処刑されました。ガリレロは「地動説」を信じ、処刑されましたが、最後の言葉は「それでも地球回っている。」でした。コぺル二クスの唱えた「地動説」は当時の常識をひっくり返す新説だったので、現在、「コぺル二クス的転回」などといわれています。シェイクスピアの『ハムレット』の主人公もこうした時代の中で『天動説」と「地動説」のはざまで悩む青年でした。この川柳の「金魚鉢の中で」という比喩表現は「井の中の蛙、大海を知らず」のことわざを踏まえ、「地動説」に悩む青年の姿を描いています。「地」の句と「天」の句は共に『ハムレット』の時代に生きる青年を描きながら、そこに作者自身の姿も重ねて表現されています。